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日本の介護課題にJuboという解決策を。
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どんな施設にもフィットするサービスで
日本ならではのきめ細かな介護を支えたい
団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」をはじめ、介護の課題が山積している日本。事業所や施設で提供されるサービスが拡充される一方で、介護の質の担保と業務効率化はなかなか進みません。Juboは「介護の質の向上と業務効率化の両立」を目指し、多様な現場にフィットするソフトやサービスを開発してきました。日本上陸に際して、CEOの康仕仲(Jessy)が現役の介護職員で労働環境改善の研究にも取り組む上条百里奈さんと「日本の介護を支える体制づくり」について語り合いました。
グローバルな知見を日本の介護と掛け合わせる
Jessy 我々は必ず日本に進出したいと思っていました。日本の介護は多様な項目を管理していて、ケアもきめ細かい。介護の質にこだわる国だからこそ、我々の最大の特徴である「AI技術」によるサポートが役立つと感じていたからです。
上条 グローバルに展開されていると、色々な視点が生かされるのだろうと想像します。私も海外視察に出かけたことがありますが、日本とは少し違いますよね。他国の介護をどんなふうにご覧になっていますか。
Jessy アメリカなどでは手厚いおもてなしというよりは、科学的データが重視されますね。サービスの内容も、比較的簡単にコピーできるように思います。
上条 お国柄のようなものも、多少反映されているのでしょうね。過去に見学したハワイの施設では、入居者がGPS付きネックレスを装着していて、それを誇らしげに見せてくれました。プライバシーに関する部分で、なんとなくおおらかな印象を持ったことを思い出しました。
Jessy そうかもしれません。日本の場合は職員と入居者・利用者の距離感や触れ合いかたが違いますよね。我々が共同研究をしていた東北福祉大学の授業で、若い学生さんが路上での歩行訓練のサポートをするシーンを見たことがあります。私は日本人の丁寧さは世界一だと感じています。
上条 介護が学問になって、その傾向がより強くなったように思います。介助や生きがいづくりなど、個人の尊厳の守りかたが丁寧なのかなと。国の方針は科学的根拠に基づくケアの推進なのですが、こういった昔ながらの心に寄り添うケアと二つのアプローチが日本では共存しています。
Jessy よくわかります。色々な事業所・施設がありますが、日本とアメリカの良さを掛け合わせるにあたり、まず共通項として「人の作業から切り出せるものは切り出そう」と考えました。一人ひとりの負担が軽減できれば、日本が今後も追求していく心を寄り添わせるケアの質が向上していくはずです。
上条 科学的根拠のあるケアも重視するという部分では、データに基づいて指示を出すAIと相性がいいのだなと思います。機械への移行は、前のめりになって進める必要がありますね。
Jessy そうですね。日本は世界に類を見ない高齢化が進んでいる国ですし、介護を必要とする人は今後ますます増えるでしょうから。我々はまず効率化の部分でお手伝いをして、この先の対策にも寄与したいと思います。
上条 日本の社会や現場のことを知ってくださっているのが、心強いです。
介護記録ソフトに外付けできるシステムを導入
Jessy 導入する国にフィットするサービスが大事だと考えています。我々は日本ではまずAIのバイタルサイン異常検知を、追って褥瘡(じょくそう)判断を提供します。日本の事業所・施設ですでに使われている色々な介護記録ソフトに外付けできるサービスで、すぐにお役に立てるはずです。
上条 AIがアラートを出してくれるのですね。日本の介護記録ソフトにはたくさんの種類があるので、今あるものに足せるのはいいと思います。
Jessy 台湾の話ですが、Juboの介護記録ソフトは全台湾で3割ほど、台南市内の施設で7割以上のシェアがあり、看護師・介護職員に使われています。患者あるいは入居者がどこに引っ越しても同じシステムで入力できることが魅力です。日本もゆくゆくはデジタルプラットフォーム化される方向になると思います。
上条 私たちが接する入居者の方は、どこかへ移るたびにデータがリセットされてしまって情報を集めるのに苦労しています。スタッフはもちろん、入居者や家族がアクセスできる日がきたら便利でしょうね。
Jessy 我々を含め、台湾では特別な技術を持つ企業が次々に新しいサービスを導入しています。現場をより良くするアイデアがたくさん出てくるのはいいことです。ぜひ日本でも、そんな気運が高まってほしいところです。
間接ケアの時間短縮で「働きやすく、選ばれる施設」に
上条 私は今、現場で入居者の方々と接しながら、介護職員の労働環境と生産性に関する研究をしています。こういったサービスで実際現場にどんな変化があるのか、とても気になります。
Jessy 台湾の介護は約6割が介護記録の入力や電話などの間接ケアです。デジタル化の転換期を迎えており、システム導入後はこの間接ケアを時間にして半分程度まで削減できました。直接ケアと間接ケアの割合で言うと、今の日本も同じぐらいでしょうか。
上条 立場によるかもしれません。責任者ほど事務作業が増えますから。現場で接する責任者の方々は「入居者の方への直接ケアがしたいのに」と葛藤を感じている人もいますね。
Jessy なるほど。責任者であれば、従業員を思いやる気持ちもあるはずです。我々はそこも応援したいと考えています。入力業務の短縮とリスク予測に加えて、ソフトの中に少しだけサプライズも用意しています。例えば夜の作業になった時、使用中の端末に「遅くまでお疲れ様」と表示させます。働く人の心がほぐれるようなことも、やってみようと。大変な仕事ですからね。「この業界で長く勤めたい」という気持ちになってほしいと思いました。
上条 離職率は日本でも長らく問題になっています。サプライズの心遣いも含め、新しいシステムを取り入れたりチャレンジ精神が感じられたりする試みはいいですね。環境が良くなっていくことは、働く人にとってモチベーションになるはずです。
Jessy 従業員に優しいサービスが、やがて入居者のメリットになればと思います。
上条 効率化できれば直接ケアの質が上がるので、きっとメリットになります。開発されたサービスは、日本の現場に寄与するものだと感じました。みんなの未来が明るくなると思います。今後どんなサービスが提供されるのかも期待しています。
介護や予防の可能性を広げるAI技術を届けるために
Jessy 日本でのサービスは順次展開していきます。これからの目標は二つあります。一つは、「日本の新しい開発会社との共同開発を実現させる」こと。連携を広げていきます。そして「寄り添いロボットの導入」です。ロボットはAI技術を生かして、職員の代わりに認知症の方の寄り添いに役立てたいと思います。来年完成するため、できるだけ早く日本に持ってきたいと考えています。
上条 ロボットがチームに加わる未来がそこまで来ているということですね。楽しみです。AIが特徴ということで、ぜひバイタルサイン異常検知の機能拡大をお願いしたいです。と言うのも、バイタルに影響が生じる手前の段階で予防することが大切だからです。生活習慣に関連する部分の情報を蓄積して、先手を打てるようになったらいいなと思います。認知症のケアとして、もうすでに目安となる水分やカロリーの摂取量などが示されているので。
Jessy まさに、開発計画に入っています。例えば体重の変動に応じて介護職員がどんな行動をとるべきかをAIからアドバイスするというものです。上条さんご自身は、今後どのような目標があるのでしょう。
上条 「高齢期の人生も豊かである社会」をつくることですね。そのためには高齢者へのアプローチはもちろん、介護職員の健康や幸福度が重要だと思います。
Jessy とても共感します。我々もプラットフォームづくりを頑張りたいと思います。日本の介護の質とAI技術が融合すれば、様々な可能性が広がるでしょう。一人ひとりの尊厳を守る日本のすばらしい介護に学び、新たなサービスを提供していきます。台湾のほか、シンガポールやマレーシアにも拠点があります。アジア全体の介護の質を向上させる一翼を担いたいと考えています。今日はありがとうございました。
Profile
Jubo CEO
康仕仲(Jessy)
ジェシー・カン/1973年生まれ。台湾台北市出身。医療従事者の家系で育つ。スタンフォード大学(アメリカ)博士。専攻はロボットと人工知能。古くからあるサービス向けのツール開発やIT化・DX化を推進。アルバータ大学(カナダ)元教授、国立台湾大学(台湾)元副教務長。2015年に大学・企業・介護事業者による産学連携連盟「智齡聯盟 (Smart Aging Alliance)」を設立。台湾政府教育部の育成プランを通じて異産業を含む1万人以上の人材を育成。18年に台湾政府科学技術部の出資を受け「智齡科技 Jubo」を設立。これまでに 3万5千床以上の医療施設と介護施設のIT化を達成。北アメリカとシンガポールにも展開しており、日本には22年に本格参入。
介護福祉士・モデル
上条百里奈
かみじょう・ゆりな/1989年生まれ。長野県出身。中学時代の介護ボランティアを機に高校・短大で介護を学び、2009年に介護福祉士の資格を取得。以後、多様な介護事業所で介護職として従事。20年から白梅学園大学で嘱託研究員(兼非常勤講師)を務める。介護に関する講演に数多く登壇し、モデルとしても活動中。
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